ヘナとは やさしい染め方ガイド

ヘナとは

ヘナは、英語で書くとHenna、そのため「ヘンナ」とも呼ばれます。日本では、「指甲花」、「マツクレナイノキ」と呼ばれ、またミソハギと同じ種類の木です。インド、パキスタン、北アフリカ、ネパールなどで広く自生している高さ1.5mから2mの低木です。
ヘナは、古来よりインドをはじめ、エジプト、ヨルダンなど中近東で女性たちに髪を美しくしたり、爪や肌に模様を描いて染めるために使用されてきました。また、皮膚病の予防や吹き出物、やけど、さらには防腐剤として使われていました。

現在では、インドをはじめ、中近東、日本、アメリカ、ヨーロッパなど世界中でヘナは白髪を染めたり、髪のトリートメント、タトゥーに使われています。

産地と栽培方法

日本で使われているヘナは、主にインドで栽培されています。インドでは、ラジャスタン州とグジャラート州が有名ですが、最も品質が高いとされるのはラジャスタン州ソジャットのヘナです。

「ラジャスタンヘナ」もラジャスタン州ソジャットで栽培されたヘナを原料としています。

ヘナの原料となる葉は2,3cmで先がとがっており、11月前後に摘み取ったあと乾燥して粉末(パウダー)にします。摘み取ったヘナの葉は、インドでは国が管理し、加工用に販売されます。葉の良し悪しや、不純物の混入度合いにより品質ランクがつけられ、価格が決まります。「ラジャスタンヘナ」は、最高品質ランクのヘナの葉を購入し、インドの工場でパウダーにし、日本でさらに品質チェックのうえ、パッキングしています。

白髪が染まる理由

ヘナの色素はローソン(ローソニア・アルバ)と呼ばれ、タンパク質と反応し、オレンジ色になります。白髪ですと、髪のケロチン成分と反応し染まります。
黒髪がオレンジ色になることはありません。
白髪がオレンジ色に染まるので、全体としては明るい感じになりますが、茶系の色にはなりません。そのため、木藍(モクラン)という藍(インディゴ)の一種の植物をヘナにブレンドしています。
木藍だけですと、インディゴ色ですから青から緑色に染まります。ヘナのオレンジ色とブレンドされ、茶系の色になります。無添加のヘナと木藍で、黒色になることはありません。

また、ヘナの色が髪に入るまでには、1時間以上ペースト状にして塗ったままにしておく必要があります。
黒色にするために、着色を安定させるために、また短時間で染めるために、化学染料を入れているヘナもあります。

安心、安全なヘナの見分け方

化学染料の入っていない本物の無添加ヘナは、次のように見分けることができます。

  • ヘナの色はウグイス色(黄緑色)、木藍は緑色。ヘナと木藍のブレンドの割合によって、緑色からウグイス色になりますが、黒っぽい色になることはありません。
  • 無添加ヘナで染めた髪は、白髪だけに色が入り、黒髪は少し明るくなったような感じになります。黒髪も茶色やオレンジ色に染まった場合は、漂白剤や化学染料が混入しているかもしれません。
  • 白髪の色が黒色に染まる場合も化学染料が入っている可能性があります。ヘナはオレンジ、木藍はインディゴ色(青緑)で、ブレンドした場合、黒色にはなりません。
  • 溶かしたまま室温に置いて、1週間たっても腐敗(カビなどの発生)しない。ヘナや木藍しか成分として入っていなければ、室温においた場合、植物の汁ですので2,3日で腐敗してきます。もし、腐敗しなければ、防腐剤などが入っている可能性があります。

ヘナの効果

ヘナは白髪染めとして、広く使われています。また、トリートメント効果が高いため、髪にコシがでて、ツヤツヤになります。触れば、その感触を実感できるはずです。

本来、ヘナは白髪染めではなく、インドの伝承医学であるアーユルヴェーダにおいて何千年もの昔から、薬として使用されてきました。

そのため、ヘナを頭皮にすり込むと、頭皮がきれいになります。
殺菌や頭皮の新陳代謝を促進してくれます。解毒作用(デドックス)があるので、一時的にフケがでたり、かゆみや吹き出物がでることもあります。
ヘナを髪に塗ると、ケラチンの一番上の、髪の表面を守るようにコーティングします。そうすることで、髪を紫外線から守り、太陽の光を反射して明るく輝き、髪にコシを与えます。
解毒作用は、1990年に科学者によってヘナのローソンが、肝臓の毒素を取り除くのに有効であると論文を発表されました。
さらに、ヘナのナフトクウィノン成分が生理不順にいいと記しています。

上記のような効果は、ヘナは植物のため、化学染料や薬剤のように速効性はありません。繰り返し使用することにより、徐々に効果が現れ、それとともに髪も身体も本当に元気になっていきます。

簡単な染め方

用意するもの

◎ヘナ ◇ボウルなどヘナパウダーを混ぜる器
◇水またはお湯(40℃くらい)
◇ラップ
◇ドライヤー
◇ビニール手袋(爪や指に色がつく場合があります)
*溶かしたヘナが乾燥するときは霧吹きなど髪を湿らすもの
*生え際をしっかり染める場合は、ティッシュや化粧コットン

アレルギー検査

使用する前に必ずパッチテストをしてください。
使用2日前に、少量のヘナパウダーを水で溶き、腕の内側の柔らかい部分に10円玉くらいの大きさで塗ってください。絆創膏など貼って24時間そのままにしてください。洗い流して、かぶれ、かゆみなどでないか48時間様子を見ます。

植物アレルギーのある方、いままでアレルギーを起こしたことのある方は専門医にご相談の上、パッチテストを行ってください。

かゆみ、かぶれなど出た場合は直ちに洗い流し、ご使用をやめ、専門医にご相談ください。

染め方

染める前は白髪が全体の70%以上あります。

ヘナパウダーをボウルに入れます。
マヨネーズくらいのふんわりしたペースト状になるように水(お湯)を入れ溶かして下さい。
量は目安ですので、粘り気を確認しながらお湯やヘナの量を調節してください。
ヘナの匂いが気になる場合は、お湯の代わりに紅茶で溶かしてください。
*お湯(約40℃)をお勧めします。

ヘナパウダーの量の目安
ショートヘア ヘナパウダー30gくらい
セミロング ヘナパウダー50gくらい
ロング ヘナパウダー50g以上

髪全体に溶いたヘナをたっぷり塗ります。地肌にもしっかりこするように塗ります。
*塗る前に髪を濡らさなくても構いません。シャンプーした後など、髪が濡れている場合は、軽く乾かしてから塗ってください。濡れたままですと、塗りにくくなります。
*ヘナが乾燥して塗りにくい場合は、ときどき【霧吹き】などで髪に塗ったヘナを湿らせて下さい。
*生え際は特に厚めに塗ってください。塗った後、化粧コットンやティッシュで押さえたままにすると、よく染まります。

額や耳などヘナが付いたままにしておくと、色が付くことがあります。付いた場合はすぐにふき取ってください。または、ヘナの前に生え際にクリームを塗ってください。

・髪全体をラップで覆い、ラップの上から手で、なかの空気を押し出すように何度か押さえてください。
・ラップの上から帽子やタオルなどで保温します。
・約40分から1時間30分待ちます。

*はじめての方は、約1時間から2時間待ち、染まり具合をみてください。温度、時間、髪質などで染まり具合は違います。
*ドライヤーで加温すると、キューティクルが開き、染まりやすくなります。

・ヘナをよく洗い流します。
・タオルドライのあと、ゆっくりと自然に髪を乾かします。

ドライヤーで早く乾かすと、ヘナが発色、定着しないまま乾燥してしまうため、白髪が緑色または紫色に染まる場合があります。

ヘナ直後の シャンプーは、お勧めしておりません。 シャンプーを行う場合は、ハーブが原料のシャンプーをお勧めします。石鹸(シャンプー)も洗浄力が強いため、色落ちを早めます。

染め方や発色を高めるコツ、ノウハウ

髪の生え際の染め方

髪の生え際(根元)は、色がつきにくいと言われています。次のように染めていきます。

  • 髪全体にヘナを塗る前に、最初に頭皮(地肌)にたっぷり溶かしたヘナをお塗りください。
    *ヘナの量が少ないと、色がつかない部分がでてきます。
  • 頭皮(地肌)を指先でマッサージして、髪の根元にヘナをなじませます。
    *ヘナでのマッサージにより、頭皮の不純物を除去することにもなります。
  • 髪全体にヘナをお塗りください。

染色を高めるコツ

ヘナは天然の植物のため、髪をうまく染めるために気をつけなければいけない点があります。染色は人の髪の毛に含まれるたんぱく質の量、溶かすお湯の温度と量、部屋の温度と湿度、シャワーキャップの有無や形状の違いなど、さまざまな要因によって異なります。
できるだけ染色を高めるため、次の方法をお試しください。

  • ヘナも木藍(インディゴ)も、水よりもお湯で溶かして塗布したほうが、発色の濃度が高まります。また、ヘアキャップで髪全体を覆い、さらにタオルを巻くことにより保温すると色が付着しやすくなります。その上からドライヤーで10分程度加温するだけで、より濃く発色します。
  • 塗布時間を長めにする 初めての方は1時間程度にしてください。発色しにくい方は、時間を長くしてください。
  • 溶かしてすぐに塗る 木藍(インディゴ)は、水やお湯を入れた瞬間から発色するためのインジカンという成分が活動します。このインジカンの活動が終わったあとに塗布しても、髪の毛に色はつきません。したがって、木藍(インディゴ)をブレンドした「ダークブラウン」「ナチュラルブラウン」「ミディアムブラウン」は、水またはお湯で溶かしたあと、時間をおかずすぐに髪の毛に塗布してください。溶かしたペーストの色が黒ずんできた後に塗布した場合、色がつきにくくなります。
  • 2度塗り 1度塗った後、もう1度塗るとさらに発色がよくなり、色の定着もよくなります。色の組み合わせでもかまいません。たとえば、ナチュラルブラウンの後にナチュラルを塗れば、少し明るめになり、さらにトリートメント効果が増します。
  •  ヘナには洗浄、トリートメント効果があるため、事前にシャンプーやリンスを行う必要はありません。シャンプーやリンスに含まれるコーティング剤が髪をコーティングしヘナが効かなくなるからです。
  • ヘナを洗い流すときはまだヘナが髪内部に定着していないため、シャンプーのご利用はおひかえください。2~3日間シャンプーを使用せず、お湯での洗髪をお勧めしています。
  • ヘナを洗い流したあとはドライヤーを使わずに、ゆっくりと自然乾燥させてください。
  • 化学染料の入ったヘアカラーやパーマの後はヘナをしない 市販のヘアカラーや美容院で使われている化学染料の入ったヘアカラーは髪をコーティングしてしまい、ヘナの成分が髪の内部に浸透しません。そのため、発色の効果はでません。パーマも同様です。 最低でも1週間以上の間隔をあけてください。
  • 染まり具合については個人差、条件に差があり都度異なりますので保証するものではありません。

ヘナの保管方法

保管方法についてご説明致します。

  •  開封前のアルミパックに密閉されている状態ですと製造後3年間は保管可能です。但し、直射日光のあたる場所や、高温の場所での保管はお避けください。
    製造年月は商品に刻印しているロット番号で確認できます。
    下3桁が製造月+西暦4桁目となります。(例)04030 2020年3月製造
  •  開封後はヘナの粉末(パウダー)を密閉した容器に入れ、3ヶ月以内にお使いください。
  • 水やお湯でペースト状にした場合は、冷蔵庫などに保管し、3日以内にお使いください。
    木藍をブレンドしているヘナは、溶かしてすぐに塗布しないと発色の効果が落ちます。